この記事の結論
精液検査で精子の数が少ないと言われても、1回の検査結果だけですべてを判断することはできません。
禁欲期間や採取状況、発熱などによって一時的に数値が変動することがある一方、精索静脈瘤、ホルモン、遺伝学的な要因など、医療機関で確認すべき原因が隠れている場合もあります。
まず泌尿器科や男性不妊外来で原因を確認し、必要に応じて再検査を受けながら、生活習慣と身体のコンディションを見直すことが大切です。
「精子濃度が基準より低かった」
「前回の検査より総精子数が減っていた」
「サプリメントを飲んでいるのに数値が変わらない」
男性妊活を始めて、このような検査結果を見て不安になる男性は少なくありません。
精子の数が少ないと言われると、
「自然妊娠は難しいのだろうか?」
「自分に原因があるのでは?」
「食事やサプリメントで数値を上げられないだろうか?」
と考えてしまう方もいると思います。
しかし、精子の数が少なくなる理由は一つではありません。
今回は、精子濃度と総精子数の違い、検査結果の見方、病院で確認したい原因、生活習慣について解説します。
精子濃度と総精子数の違い
精液検査では、「精子濃度」と「総精子数」という二つの数値が記載されていることがあります。
似ているように見えますが、それぞれ意味が異なります。
精子濃度とは
精子濃度は、精液1mLの中にどのくらい精子が確認されたかを示す数値です。
例えば、検査結果に「1,600万/mL」と記載されている場合は、精液1mLあたりに確認された数を表しています。
総精子数とは
総精子数は、精液全体にどのくらい精子が確認されたかを示す数値です。
精子濃度だけでなく、精液量も関係します。
精子濃度が同じでも、精液量が違えば総精子数は変わります。
簡単に整理すると
- 精子濃度:精液1mLあたりに確認された数
- 総精子数:1回の射精で採取された精液全体に確認された数
そのため、「精子の数が少ない」と言われた場合は、精子濃度だけでなく、精液量と総精子数も確認することが大切です。
精子の数は何個あれば正常?
WHOの精液検査マニュアル第6版では、妊娠に至った男性のデータをもとに、精液検査の参考となる下限値が示されています。
主な参考値は、次のとおりです。
- 精液量:1.4mL
- 精子濃度:1mLあたり1,600万
- 総精子数:1回の射精あたり3,900万
- 総運動率:42%
- 前進運動率:30%
- 正常形態率:4%
ただし、これらの数値は、妊娠できる男性と妊娠できない男性を分ける絶対的な境界線ではありません。
基準値を下回ったからといって、自然妊娠や不妊治療による妊娠が不可能という意味ではありません。
反対に、基準値を上回っていれば必ず妊娠できるというものでもありません。
精子濃度や総精子数だけでなく、運動率、形態、夫婦の年齢、女性側の状態、妊活期間、これまでの不妊治療の経過なども含めて考える必要があります。
精子の数は毎回同じではありません
精液検査の結果には変動があります。
前回は基準範囲内だったのに、今回は数が少なかったということもあります。
検査結果には、次のような条件が関係する可能性があります。
- 禁欲期間
- 採取時の状態
- 検体を一部こぼしてしまった
- 採取から検査までの時間
- 発熱や感染症
- 睡眠不足や強い疲労
- 服用している薬
一度の検査で数が少なかったからといって、今後も同じ状態が続くとは限りません。
一方で、「検査には変動があるから大丈夫」と自己判断で放置することもお勧めできません。
再検査の時期や追加検査の必要性について、担当医へ確認してください。
精液検査全体の見方については、次の記事でも詳しく解説しています。
精子の数が少ないときに確認したい7つのこと
1.禁欲期間や採取条件は適切だったか
まず確認したいのが、精液を採取したときの条件です。
特に確認したいのは、次のような点です。
- 病院から指示された禁欲期間を守ったか
- 検体をすべて容器へ採取できたか
- 採取時に一部をこぼしていないか
- 採取から検査までに時間がかかりすぎていないか
- 自宅から運ぶ際に極端な高温や低温になっていないか
特に射精の最初の部分には、多くの精子が含まれることがあります。
最初の部分を採取できなかった場合は、実際よりも数が少なく測定される可能性があります。
採取時にこぼした場合や、すべて採取できなかった場合は、隠さず医療機関へ伝えてください。
また、禁欲期間を長くすれば必ず良い結果になるわけではありません。
検査前は医療機関から指定された禁欲期間を守りましょう。
2.精索静脈瘤などの原因がないか
男性不妊に関係する原因の一つとして、精索静脈瘤があります。
精索静脈瘤は、精巣周辺の静脈が拡張している状態です。
自覚症状がない男性もいますが、次のような変化を感じる方もいます。
- 陰嚢に血管のふくらみが見える
- 陰嚢の左右差が気になる
- 長時間立っていると重だるい
- 陰嚢周辺に違和感や痛みがある
精子の数が少ないからといって、すべて精索静脈瘤が原因というわけではありません。
診断には医師の診察や超音波検査などが必要です。
当院では、精索静脈瘤そのものへの対応は行っていません。
精索静脈瘤を指摘された場合や、手術を勧められている場合は、泌尿器科や男性不妊を扱う医療機関で説明を受けてください。
手術後も数値が変わらない場合や、医師の管理のもとで生活習慣と身体のコンディションを見直したい場合には、ご相談いただけます。
3.ホルモンの状態に問題がないか
精子がつくられる過程には、脳と精巣をつなぐホルモンの働きが関係しています。
男性不妊の検査では、必要に応じて次のようなホルモンを確認することがあります。
- FSH
- LH
- テストステロン
- プロラクチン
どの検査が必要かは、精液検査の結果、診察所見、性欲や勃起の状態、精巣の大きさなどによって異なります。
また、テストステロンが低いからといって、自己判断で男性ホルモンを補充してはいけません。
外部からテストステロンを補充すると、精子をつくる働きが抑えられる場合があります。
筋肉増強を目的としたアナボリックステロイドなどについても、使用している場合は必ず医師へ伝えてください。
4.通り道の問題が隠れていないか
精子がつくられていても、精巣上体や精管などの通り道に問題があると、射出された精液の中に確認される数が少なくなる場合があります。
また、精液が膀胱側へ逆流する逆行性射精など、射精に関係する問題が隠れていることもあります。
次のような場合は医療機関へ相談してください。
- 射精しても精液量が非常に少ない
- 射精してもほとんど精液が出ない
- 過去に鼠径部や陰嚢周辺の手術を受けた
- 精巣上体炎などの感染症にかかったことがある
- 糖尿病や神経に関係する病気がある
こうした原因は、食事やサプリメントだけでは判断できません。
問診、診察、超音波検査、尿検査などが必要になる場合があります。
5.遺伝学的な要因を確認する必要がないか
精子の数が非常に少ない場合や、精液中に確認できない場合には、医師から遺伝学的な検査を提案されることがあります。
代表的なものには、染色体検査やY染色体微小欠失検査などがあります。
ただし、精子の数が少ない男性全員に遺伝学的な検査が必要という意味ではありません。
検査の必要性は、精子濃度、ホルモン検査、精巣の状態、家族歴などを確認して医師が判断します。
検査を勧められた場合は、何を調べる検査なのか、その結果が今後の方針にどう関係するのかを医師へ確認してください。
6.最近、高熱や体調不良がなかったか
以前より数が少なくなった場合は、数週間から数ヶ月前までさかのぼって体調を振り返ってみましょう。
次のような出来事がなかったでしょうか。
- 高熱が出た
- インフルエンザなどの感染症にかかった
- 大きく体調を崩した
- 手術や入院をした
- 強い疲労や睡眠不足が続いた
精子がつくられて成熟するまでには約2〜3ヶ月の時間がかかります。
そのため、検査直前の数日だけでなく、少し前の体調が関係している可能性もあります。
発熱や感染症があった場合は、時期と症状を担当医へ伝えてください。
7.生活習慣と身体全体の状態はどうか
男性妊活では、特定の食品やサプリメントだけを見るのではなく、身体全体の状態を確認することが大切です。
次のような生活習慣が続いていないでしょうか。
- 喫煙している
- 飲酒量が多い
- 睡眠時間が短い
- 運動する習慣がない
- 長時間のデスクワークが続いている
- 体重が大きく増えている
- サウナや長風呂を頻繁に利用している
- 膝の上でノートパソコンを長時間使用している
一つの習慣だけが原因とは限りません。
食事、睡眠、運動、喫煙、飲酒、高温環境などが重なっていることもあります。
一度にすべて変える必要はありません。
現在の生活を振り返り、続けられるものから一つずつ見直しましょう。
精子の数が少ないと言われたら、まず何をすればよい?
検査で数が少なかった場合は、次の順番で確認することをお勧めします。
- 精子濃度と総精子数の両方を確認する
- 採取条件や禁欲期間に問題がなかったか振り返る
- 検査結果を担当医へ確認する
- 必要に応じて泌尿器科や男性不妊外来を受診する
- 医師の指示に従って再検査を受ける
- 発熱、服薬、既往歴などを医師へ伝える
- 次の採精予定から逆算して生活習慣を見直す
特に、精子が確認できなかった場合や、極端に少ないと言われた場合は、生活習慣の見直しだけで様子を見ず、早めに泌尿器科や男性不妊外来へ相談してください。
サプリメントを飲めば数は増える?
精子の数が少ないと言われると、最初にサプリメントを探す方も少なくありません。
男性妊活では、次のような栄養素について情報があります。
- 亜鉛
- 葉酸
- ビタミンD
- ビタミンC・E
- CoQ10
- カルニチン
- オメガ3脂肪酸
しかし、特定のサプリメントを飲めば、すべての男性の精子数が増えるというものではありません。
精索静脈瘤、ホルモン、通り道、遺伝学的な要因などが関係している場合、サプリメントだけでは原因を確認できません。
また、複数のサプリメントを重ねることで、同じ成分を過剰に摂取してしまう場合もあります。
サプリメントを追加する前に、現在の食事、体重、病歴、服薬、検査結果を整理しましょう。
精子の数が少ない場合の病院と鍼灸院の役割
病院と鍼灸院では、できることが異なります。
病院で確認すること
- 精液検査と再検査
- 診察と問診
- 精索静脈瘤などの確認
- 超音波検査
- ホルモン検査
- 感染症の確認
- 必要に応じた遺伝学的検査
- 薬、手術、生殖補助医療などの判断
鍼灸院でお手伝いできること
- 食事やサプリメントの整理
- 睡眠・運動・喫煙・飲酒習慣の確認
- 長時間のデスクワークや身体の緊張の確認
- 鍼灸と整体による身体のコンディショニング
- 自宅で継続できるセルフケアの提案
- 次の採精予定に合わせた生活計画の整理
鍼灸は、病院で行う検査、診断、手術、投薬などに代わるものではありません。
まず医療機関で原因を確認し、病院と鍼灸院の役割を分けて考えることが重要です。
男性不妊に対する鍼灸で期待できることと、対応できないことについては、次の記事で詳しく解説しています。
ますぎ鍼灸マッサージ院の3段階の考え方
ますぎ鍼灸マッサージ院では、精子数という一つの数字だけを見るのではなく、男性妊活を3つの段階に分けて考えています。
レベル1.栄養と生活習慣
精子がつくられるためには、食事から必要な栄養を摂ることが土台になります。
ただし、特定の食品やサプリメントだけに偏らず、睡眠、運動、体重、喫煙、飲酒なども一緒に確認します。
レベル2.栄養を活用するための身体の状態
食事やサプリメントを摂っていても、睡眠不足や強い疲労が続き、身体の緊張が強い場合には、身体全体のコンディションを見直す視点も必要です。
当院では、姿勢、呼吸、腹部や骨盤周辺の状態、長時間のデスクワークによる緊張などを確認し、鍼灸と整体を組み合わせます。
レベル3.生殖機能を考えた施術
高麗手指鍼は、手に身体の各部位が対応しているという考え方をもとに、手にある精巣のツボへ刺激を行います。
ただし、施術によって精子数が必ず増えると保証するものではありません。
病院で必要な検査を受けながら、施術・セルフケア・生活習慣を組み合わせ、身体のコンディションを整えていきます。
どのくらいの期間を考えればよい?
精子がつくられて成熟するまでには約2〜3ヶ月の時間がかかります。
そのため、男性妊活では約3ヶ月を身体づくりの一区切りとして考えることがあります。
ただし、3ヶ月取り組めば精子数が増えるという意味ではありません。
また、次の採精まで1ヶ月しかない場合でも、何もできないわけではありません。
現在の食事、睡眠、運動、喫煙、飲酒、高温環境などを整理し、次の予定までに見直せることから始めます。
よくある質問
精子の数が少ないと自然妊娠はできませんか?
精子濃度や総精子数だけで、自然妊娠の可能性を判断することはできません。
運動率、形態、女性側の年齢や状態、妊活期間なども関係します。検査結果については担当医へ確認してください。
1回だけ数が少なかった場合も再検査が必要ですか?
精液検査の結果には変動があります。
再検査が必要か、どの時期に受けるのかについては、検査結果を確認した医師へ相談してください。
禁欲期間を長くすれば数は増えますか?
禁欲期間を長くすれば、必ず良い結果になるわけではありません。
検査や採精の前は、医療機関から指定された禁欲期間を守ってください。
男性ホルモンを補充すれば数は増えますか?
自己判断でのテストステロン補充は避けてください。
外部からテストステロンを補充すると、精子をつくる働きが抑えられる場合があります。ホルモンについては泌尿器科などへ相談してください。
精索静脈瘤に鍼灸は対応していますか?
当院では、精索静脈瘤そのものへの対応は行っていません。
診断や手術の判断については、泌尿器科や男性不妊を扱う医療機関へご相談ください。
手術後も数値が変わらない場合や、生活習慣と身体のコンディションを見直したい場合には、お手伝いできることがあります。
次の採精まで期間が短くても相談できますか?
ご相談いただけます。
次の採精や不妊治療の日程を確認し、その日から逆算して、今から取り組める食事・睡眠・運動・セルフケアを整理します。
男性不妊に対する鍼灸でできること・できないことは、次の記事で整理しています。
男性不妊に対する鍼灸とは?できること・できないことと病院との併用
新宿・神楽坂の当院の考え方や初回の流れは、こちらをご覧ください。
同じお悩みでご来院された方の声
※お客様ご本人の感想です。変化や結果には個人差があります。
まとめ
精液検査で精子の数が少ないと言われても、1回の検査結果だけですべてを判断することはできません。
まず、精子濃度と総精子数の違いを確認することが大切です。
そのうえで、次の7つを確認しましょう。
- 禁欲期間や採取条件は適切だったか
- 精索静脈瘤などの原因がないか
- ホルモンの状態に問題がないか
- 通り道の問題が隠れていないか
- 遺伝学的な要因を確認する必要がないか
- 最近、高熱や体調不良がなかったか
- 生活習慣と身体全体の状態はどうか
特に、精子が確認できなかった場合や、極端に少ないと言われた場合は、生活習慣だけで様子を見ず、早めに泌尿器科や男性不妊外来へ相談してください。
ますぎ鍼灸院では、病院で受けた説明や精液検査の結果、次の採精予定などを確認しながら、施術・セルフケア・生活習慣の3つの視点から男性妊活をサポートします。
LINE相談で教えていただきたいこと
- 現在どのようなことでお悩みですか?
- 年齢・身長・体重
- 現在受けている不妊治療や検査
- 分かる範囲で精液検査の結果
- 次の採精・精液検査などの予定
すべて分からなくても問題ありません。お答えいただける範囲で大丈夫です。
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執筆・監修:ますぎ鍼灸マッサージ院 院長 真杉孝博(鍼灸師)
参考資料
- World Health Organization:WHO laboratory manual for the examination and processing of human semen, 6th edition
- European Association of Urology:Male Infertility Guidelines
- American Urological Association:Diagnosis and Treatment of Infertility in Men
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の診断、再検査の時期、遺伝学的検査、手術や投薬などの判断については、泌尿器科・生殖医療を扱う医療機関へご相談ください。






お電話ありがとうございます、
ますぎ鍼灸マッサージ院でございます。