この記事の結論
精液検査で無精子症を指摘された場合は、鍼灸院ではなく、まず男性不妊を扱う泌尿器科を受診してください。
無精子症には、精子の通り道に問題がある「閉塞性無精子症」と、精巣で精子をつくる働きに問題がある「非閉塞性無精子症」などがあり、必要な検査や対応が異なります。
鍼灸は、無精子症の原因を診断したり、精子の通り道を開通させたりするものではありません。
病院での検査・治療を優先したうえで、micro-TESEなどの大切な予定に向けて、食事、睡眠、生活習慣、鍼灸、整体を組み合わせ、できる範囲で身体のコンディションを整えたい方にはご協力できます。
「無精子症と診断されたが、鍼灸で何かできることはあるのだろうか」
「micro-TESEを受けることになったが、手術までに自分でできることはあるのだろうか」
精液検査の結果を聞き、不安になっている男性もいると思います。
無精子症という言葉を見ると、妊娠の可能性がまったくないように感じるかもしれません。
しかし、無精子症には複数の原因があり、原因によって必要な検査、治療、精子を回収できる可能性、今後の方針が異なります。
そのため、最初に行うべきことは、自己判断でサプリメントを増やしたり、鍼灸だけで対応しようとしたりすることではありません。
男性不妊を扱う泌尿器科で、精子が見つからない原因を確認することが最優先です。
この記事では、無精子症の基本的な考え方、micro-TESEに向けた身体づくり、鍼灸でできること・できないことについて解説します。
無精子症とは?
無精子症とは、精液の中に精子が確認できない状態をいいます。
ただし、見た目だけで無精子症かどうかを判断することはできません。
精液が出ていても、その中に精子が含まれていないことがあります。
反対に、通常の検査では見つからなくても、遠心分離後に詳しく調べることで精子が確認される場合もあります。
また、採取状況や検査条件などを確認するため、医師の判断で精液検査を再度行うこともあります。
「1回の検査で精子が見つからなかった」という情報だけで、ご自身の状態を決めつけないことが大切です。
無精子症には大きく分けて2つのタイプがある
無精子症は、大きく次の2つに分けて考えられます。
- 閉塞性無精子症
- 非閉塞性無精子症
この2つは原因も対応も異なるため、泌尿器科での評価が必要です。
閉塞性無精子症
閉塞性無精子症は、精巣で精子がつくられていても、精子の通り道がふさがっているなどの理由で、射出された精液の中に精子が出てこない状態です。
背景には、先天的な精管の問題、感染症、炎症、過去の手術などが関係することがあります。
閉塞している場所や状態によっては、通り道をつなぐ手術や、精巣・精巣上体から精子を採取して顕微授精を行う方法が検討されます。
鍼灸によって、ふさがった精子の通り道を開通させることはできません。
閉塞性無精子症が疑われる場合は、泌尿器科で原因と治療方法を確認することが重要です。
非閉塞性無精子症
非閉塞性無精子症は、精巣で精子をつくる働きが大きく低下している状態です。
背景には、精巣そのものの問題、ホルモンの問題、遺伝学的な要因、停留精巣の既往、抗がん剤治療、放射線治療など、さまざまな要因が関係することがあります。
非閉塞性無精子症の場合でも、精巣内の一部で精子がつくられている可能性があります。
そのため、状態に応じて、顕微鏡を使用して精子を探すmicro-TESEなどが検討されることがあります。
ただし、精子を回収できるかどうかは一人ひとり異なり、事前に結果を保証することはできません。
無精子症を指摘されたら、まず何をすればよい?
最初に、男性不妊を扱う泌尿器科を受診してください。
病院では、状態に応じて次のような確認が行われます。
- 精液検査の再確認
- これまでの病気や手術歴の確認
- 服用している薬やサプリメントの確認
- 精巣の大きさや状態の診察
- FSH、LH、テストステロンなどの血液検査
- 必要に応じた超音波検査
- 必要に応じた染色体検査や遺伝学的検査
すべての方が同じ検査を受けるわけではありません。
年齢、診察所見、精液量、ホルモン値、これまでの治療歴などを確認しながら、医師が必要な検査を判断します。
受診するときは、可能であれば次の情報をまとめておくと相談しやすくなります。
- 精液検査の結果
- これまで検査を受けた回数
- 過去の病気や手術
- おたふく風邪や高熱の既往
- 現在服用している薬
- 使用しているサプリメント
- これまでの不妊治療歴
- 次回の採卵・採精予定
無精子症で鍼灸より泌尿器科を優先する理由
無精子症では、生活習慣を見直すだけでは対応できない原因が隠れている可能性があります。
例えば、精子の通り道がふさがっている場合には、睡眠を増やしたり、食生活を変えたりしても、閉塞そのものを解消することはできません。
ホルモンや遺伝学的な要因が関係している場合も、必要な検査を受けなければ原因を確認できません。
病院への受診を後回しにしている間にも、女性側の年齢や卵巣予備能、今後の採卵予定など、夫婦全体の妊活状況は変化します。
したがって、無精子症を指摘された場合は、次の順番で考えることが大切です。
- 男性不妊を扱う泌尿器科を受診する
- 原因を確認する
- 医師から治療や精子回収について説明を受ける
- 夫婦の状況を踏まえて今後の方針を決める
- 必要に応じて生活習慣や身体のコンディションを整える
無精子症に対して鍼灸でできないこと
無精子症について相談するときは、鍼灸でできないことも理解しておく必要があります。
鍼灸院では、次のことはできません。
- 無精子症の診断
- 閉塞性・非閉塞性の判定
- ホルモン検査や遺伝学的検査
- 精子の通り道を開通させること
- 精巣内から精子を回収すること
- 精子が見つかることを保証すること
- 病院で行う手術や生殖医療の代替
「鍼灸を受ければ精子が出てくる」
「この施術を受ければ手術をしなくてもよい」
「サプリメントを飲めば無精子症が改善する」
このように断定することはできません。
無精子症の原因確認と治療方針の決定は、泌尿器科などの医療機関で行うものです。
無精子症に対して鍼灸院で考えられること
病院での検査や治療を優先したうえで、鍼灸院では身体全体のコンディションを確認します。
例えば、次のような状態です。
- 睡眠不足が続いている
- 仕事のストレスが強い
- 疲労が抜けにくい
- 長時間のデスクワークが続いている
- 運動する習慣がない
- 体重が増えている
- 飲酒や喫煙の習慣がある
- 食事時間が不規則になっている
これらを確認する目的は、無精子症を鍼灸で治すことではありません。
病院での検査や治療を妨げない範囲で、妊活中の身体づくりを支えることが目的です。
男性不妊に対する鍼灸の考え方や、期待できること・対応できないことについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
micro-TESEを予定している方への身体づくり
非閉塞性無精子症では、精巣内から精子を探すために、顕微鏡下精巣内精子採取術(micro-TESE)が検討されることがあります。
micro-TESEは、顕微鏡を使って精巣組織を確認しながら、精子が存在する可能性のある部分を探して採取する手術です。
身体への負担を伴う手術であり、何度も気軽に繰り返すことを前提としたものではありません。
そのため、手術を受けることが決まった方の中には、次のように考える方もいると思います。
「できる範囲で身体のコンディションを整えてから手術に臨みたい」
「手術までの期間に、食事や生活習慣を見直しておきたい」
「自分にできることを行って、納得した状態で手術を受けたい」
ますぎ鍼灸院では、病院での検査や治療方針を最優先としたうえで、micro-TESEに向けた身体づくりにご協力しています。
体調を整えるためには、鍼灸や整体を受けるだけでなく、食事、睡眠、運動、体重、喫煙、飲酒、ストレスなども含めて確認することが大切です。
現在の生活状況や手術までの期間を確認しながら、無理なく取り組める内容を一緒に整理していきます。
micro-TESEを予定している方へ
micro-TESEで精子が見つかるかどうかは、鍼灸や生活習慣だけで決まるものではありません。
鍼灸や整体を受ければ、必ず精子が見つかるという保証もできません。
精子が見つかることを保証するのではなく、大切な手術に向けて、できる範囲で身体のコンディションを整えて臨みたい方を支えることが、当院の役割だと考えています。
手術前後の施術時期については、必ず手術を担当する医師の指示を優先してください。
micro-TESEまでの身体づくりで確認すること
手術までの期間に身体づくりを行う場合は、一つの方法だけに偏らず、身体全体の状態を確認します。
食事
食事では、特定の食品やサプリメントだけに頼るのではなく、現在の食生活全体を確認します。
例えば、次のような内容です。
- タンパク質を摂れているか
- 食事時間が極端に乱れていないか
- 外食や加工食品に偏っていないか
- 野菜や海藻類を摂れているか
- 脂質の摂り方が偏っていないか
- 極端な食事制限をしていないか
サプリメントを利用する場合も、「これを飲めば精子が見つかる」とは考えず、食事内容や不足の可能性を確認したうえで検討することが大切です。
睡眠
睡眠時間だけでなく、睡眠の質も確認します。
- 毎日5~6時間以下の睡眠が続いていないか
- 就寝時間が大きく乱れていないか
- 夜中に何度も目が覚めていないか
- 朝起きても疲労感が残っていないか
- 大きないびきや日中の強い眠気がないか
大きないびき、睡眠中の呼吸停止、日中の強い眠気などがある場合は、睡眠時無呼吸症候群などが隠れている可能性もあるため、医療機関へ相談してください。
運動とデスクワーク
激しい運動を急に始める必要はありません。
まずは、座り続ける時間を減らし、日常生活の中で身体を動かす時間を増やすことから考えます。
- 数時間座り続けていないか
- 通勤以外でほとんど歩かない状態になっていないか
- 休日も座って過ごす時間が長くないか
- 無理のない範囲で歩く時間を確保できるか
ただし、手術前後の運動については、医師の指示を優先してください。
喫煙と飲酒
喫煙している場合は、禁煙について検討する価値があります。
飲酒についても、一律に禁止するということではありませんが、毎日の飲酒量が多い、休肝日がない、飲酒によって睡眠が乱れている場合は見直してみましょう。
ストレスと疲労
無精子症やmicro-TESEについて調べ続けることで、不安や緊張が強くなる方もいます。
不安を完全になくすことは難しいかもしれませんが、睡眠時間を確保する、休む時間をつくる、一人で抱え込まずに相談することも身体づくりの一部です。
ますぎ鍼灸マッサージ院で大切にしている3つのこと
ますぎ鍼灸マッサージ院では、男性妊活の身体づくりを次の3つの方向から考えています。
- 施術
- セルフケア
- 生活習慣
1.施術
全身の状態を確認し、その日の体調に合わせて鍼灸や整体を組み合わせます。
無精子症の原因を診断したり、精子の回収を保証したりする施術ではありません。
高麗手指鍼は、手に身体の各部位が対応しているという考え方をもとに、手にある精巣のツボへ刺激を行います。
施術内容について不安がある場合は、事前に説明し、納得していただいてから進めます。
2.セルフケア
自宅で無理なく続けられるセルフケアを一緒に確認します。
特別なことを数多く行うのではなく、現在の体調や生活に合わせて、続けられる内容を選ぶことを大切にしています。
3.生活習慣
睡眠、食事、運動、体重、飲酒、喫煙、仕事の状況などを確認します。
ただし、生活習慣を整えれば必ず精子が見つかるという意味ではありません。
病院での検査結果や治療方針を確認しながら、妊活中の身体全体のコンディションを整理します。
病院と鍼灸院はどのように併用する?
無精子症の場合、優先順位は病院です。
鍼灸院への相談を検討している場合でも、泌尿器科への受診や検査を延期しないでください。
併用する場合は、次の情報を共有していただくと状況を整理しやすくなります。
- 閉塞性・非閉塞性についての医師の説明
- FSHなどの血液検査の結果
- 遺伝学的検査の有無
- 手術の予定
- 精子回収の予定
- 採卵・顕微授精の予定
- 医師から受けている注意事項
検査結果がすべてそろっていなくても問題ありません。分かる範囲で現在の状況をお聞かせください。
ただし、医師から運動、入浴、施術などについて制限を受けている場合は、その指示を優先します。
無精子症で生活習慣を見直す意味はある?
無精子症の原因によっては、生活習慣を変えるだけで精液中に精子が現れるとは限りません。
それでも、妊活中の体調管理という観点から、睡眠、体重、喫煙、飲酒、運動などを確認する意味はあります。
特に、次のような状態がある場合は、無理のない範囲で見直してみましょう。
- 毎日の睡眠時間が短い
- 大きないびきや日中の強い眠気がある
- 体重が大きく増えている
- 喫煙している
- 飲酒量が多い
- ほとんど身体を動かさない
- 長時間のサウナや高温環境が習慣になっている
生活習慣を見直す場合も、病院での検査や治療を中断する必要はありません。
無精子症とサプリメントについて
無精子症を指摘されると、亜鉛、葉酸、CoQ10、カルニチンなどのサプリメントを調べる方もいます。
しかし、無精子症には閉塞、精巣機能、ホルモン、遺伝学的要因などが関係する可能性があります。
原因を確認せず、サプリメントだけで対応しようとすることはおすすめできません。
また、すでに複数のサプリメントを飲んでいる場合は、商品名や摂取量を医師へ伝えてください。
処方薬を使用している方は、自己判断で薬を中止したり、サプリメントを追加したりせず、主治医へ相談しましょう。
無精子症についてよくある質問
無精子症でも妊娠できる可能性はありますか?
原因や精巣の状態によって異なります。
閉塞性無精子症では、手術や精子回収が検討されることがあります。非閉塞性無精子症でも、精巣内から精子を探すmicro-TESEなどが検討される場合があります。
ただし、精子を回収できるかどうか、妊娠・出産につながるかどうかは一人ひとり異なります。泌尿器科と生殖医療を行う医療機関で説明を受けてください。
精液が出ていても無精子症になることはありますか?
あります。
精液は精子だけでできているわけではありません。精囊や前立腺などから分泌される液体も含まれるため、射精できていても精液中に精子が確認できないことがあります。
1回の精液検査だけで無精子症と決まりますか?
医師が採取状況や検査内容を確認し、必要に応じて再検査を行います。
1回の結果だけで自己判断せず、検査を受けた医療機関へ確認してください。
鍼灸で無精子症は治りますか?
鍼灸によって閉塞を解消したり、精子が見つかることを保証したりすることはできません。
無精子症の診断と治療方針の決定は、医療機関で行います。
鍼灸を取り入れる場合は、病院での検査・治療を優先し、妊活中の身体づくりを支える補助的な選択肢として考えます。
鍼灸を受ければmicro-TESEで精子が見つかりますか?
精子が見つかることを保証することはできません。
micro-TESEの結果には、精巣の状態、無精子症の原因、遺伝学的な要因など、さまざまな要素が関係します。
ますぎ鍼灸マッサージ院では、病院での治療方針を優先しながら、大切な手術に向けて、できる範囲で身体のコンディションを整えたい方を支えています。
micro-TESEの何ヶ月前から身体づくりを始めればよいですか?
手術までの期間は、病院の方針やご夫婦の治療予定によって異なります。
数ヶ月前から準備できる場合もあれば、手術まで数週間しかない場合もあります。
期間が短いから何もできないと考えるのではなく、現在の食事、睡眠、運動、飲酒、喫煙などを確認し、今からできることを整理していきます。
病院での検査前に鍼灸を受けてもよいですか?
鍼灸を受けることよりも、まず泌尿器科への予約を優先してください。
受診日まで期間がある場合でも、鍼灸を受けたことで検査や受診を先延ばしにしないことが大切です。
手術前後に鍼灸を受けられますか?
手術前後は、手術を担当する医師の指示を優先します。
施術を受けてもよい時期、運動や入浴の制限、傷の状態などを主治医へ確認してください。
男性不妊に対する鍼灸でできること・できないことは、次の記事で整理しています。
男性不妊に対する鍼灸とは?できること・できないことと病院との併用
新宿・神楽坂の当院の考え方や初回の流れは、こちらをご覧ください。
同じお悩みでご来院された方の声
※お客様ご本人の感想です。変化や結果には個人差があります。
まとめ
精液検査で無精子症を指摘された場合は、まず男性不妊を扱う泌尿器科で原因を確認してください。
無精子症には、精子の通り道に問題がある閉塞性無精子症と、精巣で精子をつくる働きに問題がある非閉塞性無精子症などがあります。
原因によって必要な検査や治療方法が異なるため、鍼灸、サプリメント、生活習慣だけで対応しようとしないことが大切です。
鍼灸院では、無精子症の診断、閉塞の解消、精子回収、妊娠の保証はできません。
一方で、micro-TESEなどの大切な予定に向けて、できる範囲で身体のコンディションを整えておきたいという方にはご協力できます。
体づくりは、鍼灸や整体だけで行うものではありません。
食事、睡眠、運動、体重、飲酒、喫煙、ストレスなども含めて現在の状態を確認し、施術・セルフケア・生活習慣の3つの方向から取り組むことが大切です。
精子が見つかることを保証するのではなく、ご自身が納得できる準備を行い、大切な手術に臨めるように支えることが、ますぎ鍼灸院の役割だと考えています。
男性不妊専門 ますぎ鍼灸マッサージ院
東京都新宿区矢来町124-3 ブリス神楽坂205
東京メトロ東西線 神楽坂駅2番出口(矢来口)から徒歩1分
電話:03-6262-6835
精液検査の結果、病院で受けた説明、micro-TESEの予定、次回の採卵予定など、分かる範囲でお聞かせください。
無精子症を指摘され、まだ泌尿器科を受診していない方には、先に医療機関で原因を確認していただくようご案内しています。
参考情報
- 日本泌尿器科学会「パートナーがなかなか妊娠しない」
- AUA/ASRM 男性不妊診療ガイドライン Part I
- WHO laboratory manual for the examination and processing of human semen, 6th edition
※この記事は、男性不妊、無精子症、micro-TESEに関する一般的な情報を提供するものです。個別の診断や治療方針を示すものではありません。検査結果や治療、手術前後の生活については、男性不妊を扱う泌尿器科、生殖医療を行う医療機関へご相談ください。






お電話ありがとうございます、
ますぎ鍼灸マッサージ院でございます。