男性不妊と酸化ストレス|精子への影響と見直したい7つの生活習慣

男性不妊と酸化ストレスの関係と見直したい生活習慣「精子の数が少ないのは、酸化ストレスが原因なのだろうか?」

「精子の運動率や正常形態率にも関係する?」

「抗酸化サプリを飲めば、精液検査の数値は変わる?」

男性不妊について調べると、酸化ストレスや活性酸素という言葉を目にすることがあります。

最初に結論をお伝えすると、酸化ストレスは精子の機能やDNAの状態に関係する可能性がある一方、酸化ストレスだけで男性不妊の原因を説明することはできません。

また、抗酸化サプリメントを飲めば、すべての男性の精子数や運動率が改善するという十分な根拠もありません。

精液検査で異常を指摘された場合は、生活習慣だけの問題と決めつけず、男性不妊を扱う泌尿器科などで原因を確認することが大切です。

この記事では、酸化ストレスの基本的な考え方と、男性妊活で確認したい7つの生活習慣について解説します。

酸化ストレスとは?

私たちの身体では、代謝などの過程で活性酸素種(ROS)が生じます。

活性酸素がすべて悪いわけではありません。適量であれば、身体の防御反応や細胞の働きにも関係します。

一方、活性酸素が増えすぎたり、身体に備わっている抗酸化機能とのバランスが崩れたりした状態を、酸化ストレスと呼びます。

男性不妊の分野では、酸化ストレスと次のような項目との関係が研究されています。

  • 精子運動率
  • 精子の細胞膜
  • 精子DNAの損傷
  • 精子の成熟や機能

ただし、酸化ストレスの程度を調べる検査には複数の方法があり、標準化された検査法が十分に確立しているわけではありません。

検査が必要かどうかは、精液検査の結果やこれまでの治療経過を踏まえて、医師へご相談ください。

酸化ストレスだけで男性不妊の原因は分かる?

酸化ストレスは男性不妊に関係する可能性がありますが、それだけで原因を判断することはできません。

男性不妊には、次のような原因や背景が関係することがあります。

  • 精索静脈瘤
  • ホルモンの異常
  • 遺伝学的な要因
  • 精路の通過障害
  • 感染症や炎症
  • 停留精巣などの既往歴
  • 薬剤や抗がん剤治療
  • 発熱や全身状態
  • 喫煙、肥満、過度の飲酒などの生活習慣
  • 原因を特定できない男性不妊

特に精索静脈瘤やホルモン異常などがある場合には、医療機関での評価や治療が必要になることがあります。

酸化ストレス対策を始める前に、治療が必要な原因が隠れていないか確認することが優先です。

精液検査の数値が悪かったときに確認したいことは、次の記事でも解説しています。

精液検査の数値が悪かった男性が確認したいこと

精子への酸化ストレスを考えるときに見直したい7つの生活習慣

生活習慣を見直せば精液検査の数値が必ず変わるわけではありません。

一方で、肥満、運動不足、喫煙、過度の飲酒などは精子の状態と関連することが報告されています。

すべてを一度に変えるのではなく、現在の生活で該当するものから確認しましょう。

1.喫煙習慣を確認する

喫煙は、精子の状態に関係する生活習慣の一つです。

紙巻きたばこだけでなく、加熱式たばこを使用している場合も、「加熱式だから影響がない」と自己判断しないことが大切です。

妊活中で喫煙している方は、禁煙について検討してください。自力での禁煙が難しい場合は、禁煙外来などへ相談する方法もあります。

2.飲酒量を確認する

少量の飲酒と精液所見の関係については、研究結果が一定していません。

しかし、毎日の多量飲酒や慢性的な過度の飲酒は、精子の状態やテストステロンなどに悪影響を及ぼす可能性があります。

次のような場合は、飲酒量を一度記録してみましょう。

  • ほぼ毎日飲酒している
  • 一度に多く飲むことがある
  • 寝る直前まで飲んでいる
  • 飲酒によって睡眠が乱れている
  • 休肝日がほとんどない

持病や服用中の薬がある場合は、適切な飲酒量について医師へご相談ください。

3.体重と食生活を確認する

肥満やメタボリックシンドロームは、ホルモン環境や全身の代謝などを介して男性の生殖機能と関係する可能性があります。

極端な食事制限を始めるのではなく、まずは次の点を確認します。

  • 現在の身長・体重
  • ここ数年の体重変化
  • 腹囲の変化
  • 外食や加工食品の頻度
  • 野菜、果物、魚、肉、卵などの摂取状況
  • 甘い飲み物や間食の頻度

「抗酸化作用がある」といわれる一つの食品だけを増やすより、食事全体の偏りを確認することが大切です。

4.運動不足と長時間の座位を見直す

運動不足は、体重管理や代謝などを通じて男性の健康状態に関係します。

仕事で長時間座っている方は、いきなり激しい運動を始める必要はありません。

まずは、次のような取り組みから検討してください。

  • 1時間に一度を目安に立ち上がる
  • 数分間歩く時間をつくる
  • 通勤や昼休みに歩く
  • 無理のない有酸素運動を取り入れる
  • 週に数回、継続できる運動を選ぶ

運動習慣がない方や持病がある方は、身体の状態に合わせて無理のない範囲から始めてください。

5.食事とサプリメントを増やしすぎていないか確認する

男性妊活では、亜鉛、CoQ10、カルニチン、ビタミンC・Eなど、さまざまな栄養素や抗酸化サプリメントが紹介されています。

一部の研究では精液所見などへの可能性が報告されていますが、研究ごとに使用する成分、量、期間、対象者が異なります。

現在のガイドラインでも、原因を特定できない男性不妊に対して、抗酸化サプリメントを一律に使用するだけの十分な結論は得られていません。

複数のサプリメントを併用すると、同じ成分を重複して摂取していることもあります。

新しいサプリメントを増やす前に、現在飲んでいる製品名、成分、摂取量を一度整理しましょう。

治療中の病気や服用中の薬がある場合は、医師や薬剤師へご相談ください。

6.睡眠と回復時間を確認する

睡眠は、男性妊活だけでなく、体重、代謝、ホルモン、精神的な負担などを含む全身の健康状態に関係します。

睡眠時間だけでなく、次の点も確認してみましょう。

  • 就寝時間と起床時間が大きく変動していないか
  • 夜中に何度も目が覚めていないか
  • 朝起きても疲れが残っていないか
  • 大きないびきや睡眠中の無呼吸を指摘されていないか
  • 寝る直前まで飲酒やスマートフォンの使用を続けていないか

大きないびき、睡眠中の無呼吸、日中の強い眠気がある場合は、睡眠時無呼吸症候群などについて医療機関へご相談ください。

7.高温環境や最近の発熱を確認する

精巣周辺の温度上昇は、精子をつくる機能と関係する可能性があります。

次のような習慣や出来事がなかったか確認してください。

  • 長時間のサウナを頻繁に利用している
  • 熱い風呂へ長時間入っている
  • 膝の上でノートパソコンを長時間使用している
  • 高温環境での仕事が続いている
  • 数週間から数か月前に高熱が出た
  • 感染症などで大きく体調を崩した

一度サウナに入っただけで男性不妊になるという意味ではありません。

日常的に長時間温める習慣がないか、検査前の数か月に高熱や体調不良がなかったかを振り返ることが重要です。

抗酸化サプリを飲めば精子の数や運動率は変わる?

抗酸化サプリメントについては、良い結果を報告した研究がある一方、精液所見や出生率に明確な差が認められなかった研究もあります。

そのため、現時点では「この抗酸化サプリを飲めば、精子数や運動率が上がる」と一律に断定することはできません。

また、精子数や運動率が低くなる原因が、精索静脈瘤、ホルモン、遺伝学的な要因などにある場合、サプリメントだけで対応できるとは限りません。

すでに複数のサプリメントを3か月以上続けているのに結果が変わらない方は、新しいものを追加する前に、次の点を整理してみてください。

  • 医療機関で男性側の原因を確認しているか
  • 現在飲んでいる成分が重複していないか
  • 喫煙や多量飲酒が続いていないか
  • 睡眠や体重に課題がないか
  • 最近の発熱や体調不良がなかったか
  • 次の採精や採卵はいつか

酸化ストレスの検査は受けたほうがよい?

活性酸素や酸化ストレスを評価する検査には複数の方法がありますが、すべての男性に日常的に行う検査として標準化されているわけではありません。

また、精子DNA断片化検査(SDF・DFI)についても、すべての方へ最初から行う検査とは限りません。

反復する妊娠不成立、流産、体外受精・顕微授精の経過などによって検討される場合があるため、検査の必要性は生殖医療を扱う医師へご相談ください。

精液検査の数値が悪い場合は病院での確認が優先

酸化ストレスが気になっても、精液検査の異常を生活習慣だけの問題と判断しないでください。

次のような場合は、男性不妊を扱う泌尿器科などへの相談を優先してください。

  • 精子がまったく確認されなかった
  • 精子数が著しく少ないと言われた
  • 精索静脈瘤を指摘された
  • 陰嚢に痛み、腫れ、しこりがある
  • ホルモン検査の異常を指摘された
  • 停留精巣や精巣の手術歴がある
  • 抗がん剤や放射線治療を受けたことがある
  • 遺伝学的検査を勧められている

乏精子症については、次のページでも詳しく解説しています。

乏精子症(精子数が少ない)と診断された方へ

ますぎ鍼灸マッサージ院の考え方

ますぎ鍼灸マッサージ院では、酸化ストレスだけを男性不妊の原因と考えることはありません。

まず、医療機関で受けた検査や治療内容を確認したうえで、男性妊活を次のように整理します。

  1. 材料:精子をつくるための食事や栄養を確認する
  2. 消化・吸収:食欲、胃腸の調子、便通などを確認する
  3. 身体全体の状態と循環:睡眠、運動、仕事、長時間の座位、身体の緊張などを確認する
  4. 精巣を含めた身体環境:発熱、高温環境、病院での検査結果などを整理する

これは、当院が男性妊活の身体づくりを整理するために用いている考え方です。

高麗手指鍼、整体、セルフケア、食事・生活習慣の確認を組み合わせますが、鍼灸によって酸化ストレスが除去されること、精子DNAが修復されること、精子数や運動率が改善することを保証するものではありません。

当院の身体づくりの考え方については、次の記事もご確認ください。

男性不妊を栄養・吸収・身体の状態から考える

よくある質問

酸化ストレスが高いと男性不妊になりますか?

酸化ストレスは精子の機能やDNAの状態に関係する可能性がありますが、男性不妊の原因は一つではありません。精液検査に異常がある場合は、医療機関で総合的な評価を受けてください。

抗酸化作用のある食品を食べれば精子数は増えますか?

特定の食品を食べれば精子数が増えるとは断定できません。野菜、果物、魚、肉、卵などを含め、食事全体の偏りを確認することが大切です。

抗酸化サプリは飲んだほうがよいですか?

抗酸化サプリメントの有用性については、研究結果が一定していません。服用中の薬や健康状態によっても判断が異なるため、医師や薬剤師へご相談ください。

生活習慣はどのくらい続ければよいですか?

精子がつくられて成熟するまでの時間を考え、男性妊活では約3か月を一つの確認期間とすることがあります。ただし、3か月続ければ精液所見が改善するという意味ではありません。

男性不妊の鍼灸で酸化ストレスは改善しますか?

鍼灸によって酸化ストレスや精液所見が必ず改善するとは断定できません。当院では、病院での検査や治療を優先しながら、施術、セルフケア、食事、睡眠などを含めた身体づくりを支援します。

まとめ

酸化ストレスは、精子の機能やDNAの状態に関係する可能性があります。

一方で、酸化ストレスだけで男性不妊の原因を判断することはできず、抗酸化サプリメントの効果についても十分な結論は得られていません。

男性妊活では、次の順番で考えることが大切です。

  1. 医療機関で男性側の原因を確認する
  2. 現在の精液検査と治療内容を整理する
  3. 喫煙、飲酒、体重、運動、食事、睡眠、高温環境を確認する
  4. サプリメントを増やす前に、現在の内容を整理する
  5. 次の採精・採卵予定から優先順位を決める

「食事やサプリメントを続けても結果が変わらない」

「いろいろ試しすぎて、何を優先すればよいか分からない」

「次の採精までに、男性側でもできることを整理したい」

そのような方は、新しいことを増やす前に、今までの男性妊活を一度整理してみませんか。

当院の施術方針や初回相談の流れについては、こちらをご確認ください。

東京・神楽坂で男性不妊に対する鍼灸を検討している方へ

男性不妊専門 ますぎ鍼灸マッサージ院
東京都新宿区矢来町124-3 ブリス神楽坂205
執筆・監修:真杉孝博

当院は医療機関ではなく、病気の診断、検査、薬の処方は行いません。精液検査の異常や身体症状がある場合は、男性不妊を扱う医療機関へご相談ください。施術による結果には個人差があり、妊娠や精液所見の変化を保証するものではありません。

参考資料

ますぎ鍼灸マッサージ院 院長の真杉孝博です。キャリア24年、のべ4万人以上の施術を行ってきた鍼灸師で、はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師の国家資格を持っています。現在は新宿区で男性不妊症専門の鍼灸院を運営。根本原因からの改善で自信を取り戻すお手伝いを通じ、元気な日本の復活を目指しています。YouTubeや書籍『妊娠・出産に導く神ワザ治療院15選』への掲載など、幅広く活動しています。

著者の詳しいプロフィール

ますぎ鍼灸マッサージ院